2015年10月アーカイブ

疑心暗鬼

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動くと左下腹部にズキッとした痛みは残るものの、それでも☆ひろさん夫妻に飯をご馳走になったり、友人が四谷・荒木町に新しく開いた店に祝儀袋片手に出掛けたり、以前のように夜更かししたりと体調も良くなって来た連休の終わり。

食卓には、自分の大好物である数の子と松茸の炊き込みご飯という夢のようなラインナップが並び、これでデザートに高級マスクメロンでもあれば本当に本当に大満足なのだけれど、いや待てよ、日々迷惑こそかけれど掃除も洗濯もゴミ捨ても含め家事の一切をしない役立たずの男には白米と沢庵だけ喰わせておけばいい、いいや白米さえも贅沢だ、麦飯一膳で充分という我が家のルールから余りに逸脱しているこのラインナップ。えっと、自分の誕生日は、うん、今日じゃない。

神様ぁ、ひょっとしてオイラもうじき死んじゃうのかなぁ。

数の子→松茸の炊き込みご飯と来て、この後に半切りのメロンが乗った皿が運ばれてくればリーチ一発ツモ役満できっと死んじゃうだろうから、時間をかけてゆっくりとゆっくりと大好きな数の子の一粒一粒を噛みしめながら食べる疑心暗鬼な夕食時____。

オネェと御札

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先月末、丁度病気をして一週間ほど寝込んだ後、下腹部の激痛により歩くのも困難だった状況を脱し、痛み止めを飲みながらではあるのだけれど、なんとか周囲の人に怪しまれず警察官にも職質を受けない程度の姿勢で歩け始めた頃のお話___。

開店したばかりで他の客の影も少ない午前中の某高級家具店内を煌々と照らす照明に、ついついしかめっ面になりがちな病後間もないボクの隣には、少し内股で歩くスーツ姿の男性70歳。4年前に亡くなった新宿2丁目のオカマスター故・柏木和美氏の親友でもあり、普段は四国の高松市のそばに住んでいるその彼こそ、此処でも過去にチラホラと書かれる(『無知な善意のテロリスト』『花より団子』『役立たずの案内役』『画に教えられるコト』他)、バカマツの宮様その人であらせられる! 頭が高い! ハハー。

そのバカマツの宮様が、この度、四国の大邸宅をお残しになったまま東京へのお引っ越しをなされるのに伴い、お一人では何も出来ない、買い物にでも行こうものなら、販売員の口車に乗せられ必要以上の品物をバカ高い値段で買わされてしまう事もしばしばあり、要するに少々お知恵の足らぬ御方であらせられる為、仲間内で一番暇な自分が『引っ越し侍従長』に任命されたのだよ。

「東京は仮住まいだから家具とかは安物でいいの。ホンットに安いので。」
御上京前に電話口でそうおっしゃっられていたバカマツの宮様は今、若い男性店員の説明を高級ベッドで有名なシモ○ズベッドの上で横になられてお聞きになっている。おまけに17万円もする羽毛布団まで掛けられ、お顔には満面の笑みを浮かべていらっしゃられる。他人を疑う事を知らぬ汚れなき子供の笑みだ。要するに馬鹿なのだ残念な事に。

「あっち(四国)もシモ○ズだしこれにしようかしら。」
高級羽毛布団を掛けられ未だその高級ベッドから起き上がろうともしない彼のこれ見よがしの金持ち自慢を「なんだったらこのまま顔にハンカチでも掛けてやろーか? 高級シルクの。」と受け流し、若い男性店員に「これと同等もしくはそれ以上の機能でもっとお手頃な値段のベッドはあるんですか?」とボクが問うと、あるぢゃーないか。シモ○ズから独立された方が立ち上げたメーカーで、シモ○ズに比べ知名度こそ劣れど技術は折り紙付きだというその展示用ベッドの試用を促され、高級ベッドから剥がされたせいで入店10分にして早くも機嫌を損ねる短気なバカマツの宮様が、「人生の三分の一は眠りなのよ。良い物を買わなきゃ駄目なの。大丈夫なの? それ。」と、古いTVCMの中の王貞治氏の名言をオネェ言葉で台無しにしてみせながら渋々そのベッドに横になった次の瞬間、「あら良いじゃない。うん、これが良いわこれにする。安いし。」
安くはないよ、そりゃーアンタが最初に寝てたベッドより手頃だけれども。

その後、若い男性店員に勧められるがままにサイドテーブルにベッドシーツに枕にピローケースにと、背後で注意をするボクをよそに次々に寝具類を買われてゆく彼と会計のテーブルに着き、それぞれの商品代金と合計金額の書かれた会計書類にサインを済ませ、若い男性店員がクレジットカードとその会計書類を持って手続きを済ませに店の奥へと姿を消してすぐに、バカマツの宮様がこんな事をおっしゃられる。

「ねぇツカサ。ベッドそんなに高くなかったよね? なのになんであんな値段になっちゃったのかしら?」

「そりゃあこんな高級店でサイドボードはまだしも、シーツや枕やピローケースまで買っちゃったからじゃないの? しかも店員に言われるがまま2枚ずつ。ベッド以外は他で探せば安いのいくらでもあるって言ったぢゃんかオレ。」

「いつ言った?」

「ベッド選び終わった頃からずっと。何度も。」

「ボク聞こえなかったよ。聞こえるように言ってよ。」

「あら、ツンボ? ツンボになっちゃったの?」

「・・・ねぇ・・・、今からキャンセル出来るかしら?」


家具店を出た後の家電量販店では、ボクらの接客対応をする店員を相手に、当の店員からすればノルマ達成でクソ忙しい決算前のこの時期に、屁の役にも立ちゃしない身の上話を長々と打ち明けになられたり、1度カウンターに持って行った商品の説明をお聞きになっている間に、多分ちんぷんかんぷん過ぎてワケが解らなくなったのだろう、「わかんない!! もう要らない!! 帰る!!」と耳から蒸気を発するかの如く突然お怒りになられたり、休憩で入った喫茶店の階段の手摺りを持とうとして手摺りの先にスーツの袖を引っ掛けて、まるで罠にかかったイノシシのように藻掻いたりと、朝から日暮れまでずっと、70歳をお迎えになった割には、それはそれはお忙しいというか、落ち着きの無いご様子であらせられた。

そんなご乱心を目にする度に、ボクの口からは、彼の親友である故・和美さんが彼をたしなめる時によく言っていたその言葉が、午前中の家具店での会計テーブルの席、家電量販店、喫茶店、そして東京の街の雑踏の中で、オネェ口調のリズムよろしく、ボクからすれば人生の大先輩である彼の額に御札のごとくペタンと貼り付けられてゆく。
「アンタ馬鹿ぢゃないのっ!?」________。

バ○とあせもとラグマット

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「家具類はアンタのセンスに任せたからね。」

上京前におっしゃっていた四国の御仁・バカマツの宮様が本日上京され、訪れた我が家にて、数日かけてボクがあらかじめ決めておいた家具のひとつひとつに「これはダメ。頭ぶつけたら死んじゃう。」だとか「ボクはお尻に汗をかきやすいからこれもダメ。」だとか難癖をおつけになられ、結局はそのひとつひとつを本人が最初から選び直したのだよ。

テーブルの角に頭をぶつけたり、お尻に汗疹が出来るのは何もヨチヨチ歩きを始めたばかりの赤子に限っての話ではなく、齢70にもなるこの御方には実際起こりうるという事をボクを始めとする仲間内の誰もが理解しているだけに反対も出来ず、今はただ、唯一本人のお許しが出たラグマットと、もうすでにボクが購入してしまっていたローチェストのふたつだけが、これからバカマツの宮様がお住まいになる部屋で少しでもセンスを醸し出してくれる事を願うばかりである。

そのラグマットも最初は「ボク、この端に躓いて転んじゃうよ。」と文句をつけたそばから、「あっち(四国)からムートン(羊の毛皮)の敷物も送ったの、毛が長くてフッサフサのヤツ、二枚も。あったかいんだよー。」と、赤子のような満面の笑みをもって抜かしやがるので、ラグマットの端につまづくよりも、スベッスベの床に敷かれたそのムートンの上でズリッてなって転ぶ確率の方がはるかに高いという心配をこの御方はしないのだろうか、嗚呼そうか、この御方は残念な事に馬鹿だった、馬鹿に本気で腹を立てても仕方ない、そう言えばこの御方の親友でもあり新宿2丁目のオカマスターだったあの人は最期の最期までとても忍耐強い人だったな、と改めて故人の偉大さを思い知る日曜日の昼下がり___。

頭痛で眠れぬ夜に思ふ事

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前出の「引っ越し侍従長」の任に文字通り振り回され、気づくと他への義理を欠きまくり義理のカタチもありゃしないなんとも情けない話で、ボクと同郷の先輩U氏が主催する東京で頑張る土佐人所縁のイベント『しばてん魂ソウルレヴュー』にも毎年欠かさず出演してくれているお笑いコンビの『ツーライス』の大ちゃん(土佐清水市出身)が出演する映画『あらうんど四万十〜カールニカーラン〜』の六本木ヒルズでの限定上映のチケットを買い忘れ、気づけば既に売り切れ。同映画を陰ながら応援する身としては完売は嬉しいのだけれど、大ちゃんに直接「舞台挨拶もするので来てねー。」と連絡を受けていたのに、すまん大ちゃん。

体調を崩して寝込んでいた先月も、引っ越し侍従長としてあちこち動き回っている現在も、頭の中ではいろんなメロディーやワクワクするようなアレンジが通り雨のように振っては止み振っては止みしていて、嗚呼まだ枯れてもいないようだという安心感はあれど、それを書きとめない事には何も生まれず、結果として音楽とはずいぶん遠い部分で日々ただ気忙しく、ハッと気づけば他人はおろか自分自身への義理も欠いてしまっていて、なんだかなーな秋の終わり_____。

その手を繋いでゆけばそれもまた社会

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肩をすぼめて座る自分の視界の両端。右端では若い女性がファンデーションケース片手に化粧をし、左端ではこれまた若いスーツ姿の男性が足組ポーズのまま顔面近くまで近づけたスマートフォンを親指でなぞり、双方ともタイム イズ マネーの勢いそのまま塗り塗りなでなで忙しない総武線午前10時。

宙に浮かせた視線の先では社会派週刊誌の中吊り広告が、事件、経済、国際問題と、様々な形でこの国の未来を嘆くけれど、例えば自分の両隣で、まるで自分だけの専用車と勘違いしているこの男女のような人も含めそれがこの国だと言うなら、自分が気がかりなのはこの国の未来でもなんでもなく、郷里で暮らす母親だったり、しばらく連絡も出来ていないあの人だったり、これを時々読んでくれているアナタだったりする。

膝の上に載せた紙袋。その紐を握った両手の内側に収まる程度のボクの社会。
狭くて小さくて時に面倒臭くて、それでも拳の中の体温分だけ温かい___。

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プロフィール

冨岡ツカサ
職業:旅人
もといミュージシャン
マレー語,小型ボート操船

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