2015年2月アーカイブ

1日の始まりの場所

此れを書くのをサボって気づいたら早2月。パンコール島滞在も残すところあと20日余り。
急いで帰ってもこれと言って急ぎの仕事があるわけじゃなし、待っているのは3月15日提出期限の確定申告用紙とレシートの束なわけで、ボクの収入欄を見て鼻で笑いそうになった税務署員に何の義理立てもないのだけれど、それでも帰らにゃならんかね。


毎朝、自分のシャレーのすぐ目の前のレストランから聞こえる朝の喧騒で目が覚め、ベッドから起きたままの格好でタバコとiPadを片手に朝食を摂るため部屋を出るのだけれど、ボサボサに寝癖のついた髪で日に焼けた顔をしかめた男が突然ブュッフェの向こうから現れるもんだから、欧米人を始めとするほとんどの客が一様に驚き、こちらはこちらで不審者と思われたくないため、寝癖頭としかめっ面のままグッモーニンとぶっきら棒に挨拶をしてレストランの隅のスタッフ用テーブルに着く。
同じテーブルで朝食を摂っている若いスタッフが「身支度を整えてから出てくればいいのに。」と、こちらも見ずに言う言葉に対し、「歳を取るとどうでもよくなるもんさ。」と、こちらもしかめっ面でiPadの画面を睨みつけながらタバコに火を点ける。


外が見渡せるレストランで、iPadの画面と椰子の木の間を飛び回るツバメたちの向こうに広がる青空とを交互に見ながらパンを囓りコーヒーを飲む。時折、海に向かう前の道を通る観光客が、柵越しに寝癖頭でパンを口に咥えたまま空を眺める男を物珍しそうに見ては通り過ぎる、いつもと変わりない1日の始まり______。

今年もチョコには縁遠い場所で

観光客で賑わうパンコール島の土曜日の夜。
海岸通りの夜店のテントの下、ギターを抱えて椅子で寛ぐボクの周りには、親たちが店を閉める23時頃まで、自分たちだけで遊びまわる元気で逞しい子供たちが大勢群がり、「ツカサ、ドラえもん唄って。」とせがんでくる。そのリクエストに応え本気モードで唄う今夜3回目のドラえもん。もちろんちびっ子たちに日本語を理解する能力はまだないのだけれど、必ず「アン♪アン♪アン♪・・・・ドラえーーーもんーー♪」の部分は大合唱になる。恐るべしドラえもん。


日中、今日もカンカン照りの海の上で総量3kg以上ものイカを釣りまくったし、それを1kg約450円で全て売捌けたし、イカ墨で汚れた服も綺麗に漂白出来たし、終始においてイラッとする出来事も無かったし、そして夜は夜で、子供たちがくれた素敵な笑顔はどんなに値段の高いチョコレートよりも本当に嬉しく思えた、ヘトヘトだけれど幸せなバレンタインデー____。

寝坊助な月曜日

昨日、海岸から帰って来て、晩飯も喰わずに部屋で少し寝てしまったおかげで、朝6時まで眠れず、久々の朝寝坊。人も少なくなり静かな宿のレストランの片隅で、薄雲のおかげで多少優しくなった陽射しに濃い緑が揺れる道の向こうの椰子の木と手元のiPadの画面を交互に見たりしてゆっくりと朝食を摂りながらコレを書いている間に、ボート屋仲間たちが次々とタダ飯を喰いにやってきて一気に騒がしくなったのでこの辺で。
パンコール島滞在も残すところあと12日。無理せず、怪我せず、病気せず、楽しくやってゆこう。
じゃ、またね_______。

旧正月2015

普段は人も少なく静かな海岸通りに大勢の観光客が溢れ、その隙間を車やバイクが縫うようにノロノロ走る旧正月初日の夜。
客受の悪いストリートミュージシャンの友人に呼び止められ、ウクレレみたいな小さいギター片手に数曲唄っている間に、こんなローカルな島で唄う日本人という物珍しさからか立ち止まる観光客が次第に増え、人集りが出来たところでこちらも伝家の宝刀を『ドラえもん』を披露。
昼間、体調不良とボートが空く暇もなくイカ釣りにも出られず、ほとんど部屋で寝ていたおかげで温存していた体力を『ドラえもん』に集中投入した結果、客たちの大合唱が生まれ、目の前のケースに次々に小額紙幣が放り込まれ、その度に歌の合間を見て「ありがとうね」と御礼を言う律儀さを忘れず、楽しい夜は更けてゆくのだけれど、演奏がすべて終わった後で、毎度の事ながらこの夜ボクがそのほとんどを獲得したチップの分け前をボクに一銭も分けてくれない友人ミュージシャンに「明日も唄ってくれ。」と頼まれ、快い返事を返しながら「でもオマエの為じゃなく聴いてくれるお客さんの為にね。」と、心の中で舌を出す、相変わらず捻くれ者のボクに「お疲れさん。」とジュースを差し出してくれる近くの屋台のおっちゃんの心遣いが嬉しい旧正月______。

眠いんだけどね

こちらは夜中の1時半過ぎ。
只今、ガラスドア一枚を隔てた目の前のレストランで、酒に酔った毛党がピーチクパーチク五月蝿くて眠れやしない。昼間、魔の旧正月に突入してからボートが空く暇もなく釣りにも出掛けられない日が3日も続いていて、ただでさえイラッと来ているのに、マナーも知らない欧米人達のバカデカイ笑い声がが更に神経を逆なでるのだよ。あーうるせーうるせー。

と、コレを書いている途中にどーにもこーにも我慢ならんなって表に出て「眠れねーんで声を押さえてくんねーか?」と至って穏やかに言うと、「ごめんんごめん、静かに話すから。」と。なんだ、意外と良いヤツじゃんか、と思ったのも束の間、また元のボリュームに戻りやがった。
これだから酔っ払いは______。

カウントダウン

パンコール島滞在も残すところあと3日となり、道やビーチで知り合いに会う度に其れを告げたりしながら皆と名残を惜しむ...なんて事はせずに、今日もイカ釣りの為に小型ボートを強奪し沖に向かう。


でも、そんな僕に対し普段なら文句や嫌味を言うボート屋主人もビーチボーイ仲間も、旧正月が終わった日辺りから、言いたいであろう言葉を抑えてくれているのは、残り少ない日々を好きにさせてあげようという彼らの思い遣りがこちらにも伝わっては来ている。其処を敢えて遠慮もせずに「客も居ないし借りてくよ。」と、裸足で釣竿片手にボート屋テントを背にするボクはボクで照れ隠しのつもりなのだけれど。


今日も思う存分にイカを釣り、ボートを浜辺に帰し、傍で砕ける波を容器ですくってはボートのあちこちにこびり付いたイカ墨を擦り洗い流した後、大きなため息をつきながら釣竿とタモ網とイカの入った容器を提げて浜辺から海岸通りへの階段を上り、途中土産屋のオバちゃんたちの「1kg売ってよ。」という声に笑顔で頷きながらボート屋のテントに戻り、知り合いの店からビニール袋を貰い、それにイカを1kgずつ小分けにし、潮水や潮風の付いた釣竿や用具を水道水で軽く洗い、小分けにしたイカと現金RM15(約450円)との受け渡しをあーでもないこーでもないと文句や冷やかしを笑顔で言い合いながら済ませ、テントの下に戻ってタバコに火を点け、疲れ混じりのため息にも似た大きな息を煙と一緒に吐き出す、昨日と一昨日と、いやずっと前から変わらぬ日常のリズム。
ただ、いつもと少しだけ違うのは、タバコを吹かすボクの元に、母親の運転するバイクでわざわざやって来てくれた子供たちが照れ臭そうに差し出したお別れの手紙。


少しずつ別れの時が近づいている_____。

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プロフィール

冨岡ツカサ
職業:旅人
もといミュージシャン
マレー語,小型ボート操船

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