2011年12月アーカイブ

右足痛い

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痛風再発の兆しあり。
こんな短いスパンで再発するのは初めて。
まったく歳は取りたくないもんだ。

静かな時間の中で

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某大学病院の病室。
痩せ細った体をベッドに横たわらせ、
眼力を何処かに忘れてきたかのように、
虚空の一点をみつめる彼は、
前回電話で話した時よりもはるかに弱々しく
なってしまった声でボクに言う。

「このMP3プレーヤー・・・壊れちゃった・・・みたいなの・・・。
 新しいの・・・買ってさ・・・、音楽・・・入れて来てくれる?
 複雑なのは・・・イヤよ・・・。ボタンの・・・少ないの・・・・。」

「了解!! 明日にはちゃんと入れて持ってくるね。」

「ツカサ・・・。アンタ・・・いつも・・・、
 返事だけは・・・いいけどね・・・。」

「あーはいはい。それより簡単にくたばられたら、こっちも
 マレーシア行ってすぐ帰って来なきゃいかんなるし、
 頑張ってよ。」

「解ってるわよ・・・。
 それより・・・早く・・・買ってきて・・・ちょーだいよ・・・
 ・・・M・・・P・・・3・・・。」

病室に居る誰もが笑う。
この期に及んでも、ボクらは笑い合っている。
夕暮れ色の空に東京タワーが浮かぶ日曜日________。

欠けてゆく月を見上げながら

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で、預かった金で買ってきた新しいMP3プレーヤーを
自宅に持ち帰り、自室で彼のお気に入りの曲を次々に
入れてゆき、丁度、画像も表示出来るタイプなので、
ついでに今まで何度も行った沖縄・伊平屋島での画像や、
島に住む彼の友人たちの画像も入れながら、
画像の中に写るみんなの表情を見て思った。
彼はみんなから愛されているのだと________。

さて、「ついで」の方によっぽど時間を喰ってしまい、
気がつけばもう朝6時前。
少しだけ寝て、昼までに届けてあげようかね。

こんな事しか出来ない

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「やれば・・・できんじゃない・・・。」

某大学病院の病室の彼の元まで、
例の新しいMP3プレーヤーを
昼前に届けた時の彼の言葉。

口調こそこちらが聞き取れないほどの小さな声だし、
こちらに心配をかけまいと、ただでさえ普段から周りの者に
気を遣う彼が選んだ精一杯の皮肉に、
こちらも自然と笑みがこぼれる。
調子に乗ってプレーヤーの操作方法を教えるボクに、
「そんな・・・次から次・・・言われても・・・
 わかんないわよ・・・。ゆっくり・・・覚えるから・・・。」
と、真新しいプレーヤーを枕元に置く彼。
朝からお腹が痛いらしく、先ほど配膳係の人が持ってきた
昼食も、痩せ細った彼の背後で、たぶんこのまま下げられ
るのを待つだけだろう。

とにかくゆっくりと覚えてよ。一日でも長くゆっくりと___。

2011-2012旅支度

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2011.12.13.jpg

写真に写る荷物の左半分が、ボクの"越冬の旅"の為の荷物。
ちなみに内訳は、
オリジナル曲『人生ライダー』の歌詞通り、パンツ3枚。靴下1足。
半袖Tシャツ3枚。短パン2着。
パジャマ兼夜用ズボン(バティック染ズボン)3枚。
バスタオル1枚。タオル1枚。電圧変換器など電化製品1式。
髭剃り・歯ブラシ・シャンプーなどの洗顔1式。
左耳用の耳栓1セット。薬各種。旅の指さし帳マレー語編1冊。
あと現金少しとパスポート。
その他に必要な対冷房用のパーカーなどは、今回も現地で買う事に__。

いやね、一目で解るように、右半分のお土産の方が自分の荷物より
はるかに多いし、かさばるしという、なんともまぁ七面倒くさい事情が
あってだね。愛用のリュックに入りきらないのだよ。
ちなみにお土産は、日本が誇る柿ピーワサビ味を始めとするお菓子と、
荷物検査で「行商目的」で引っかかりそうな量のアディダスのTシャツ。
サッカー日本代表のヤツまであるのだよ。いやいや、コピー商品じゃなく
すべて正規品だってば。
荷物検査でも同じ事を言わないかんなるのかねこりゃ。
あと、デジカメを買って来てくれとか言っていたけれど、忘れたフリをしよう。
無理でしょ、これ以上持って行くの。
ただでさえ昨日から首を寝違えていて動きが鈍いってーのに。

2011.12.13_02.jpg



実は予定では今月20日からだった越冬の旅を、
今週金曜日からに早めたのだよ。
自分の東京の親代わりが大変だっていう時に、
なんて薄情な奴だと思われて当然だろうけれど、
自分なりにいろいろと考えた末の事なので、
責めは帰国してから聞くよ。聞こえの悪い左耳で________。

静寂とエピローグ

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トイレまで自力で行く事が出来ないのに、
それでも懸命に行こうとし、結局は間に合わず、
ベッドの傍らで尿瓶を自分の股間にあて、
うなり声をあげながら用を足す。
誰よりも美意識の高い彼の性格からして、そんな姿を
誰にも見られたくないだろうから、ボクはボクで
そっと引いたカーテンのこちら側で、その唸り声が
おさまるのをひたすら待つ。
そして、彼がパジャマのズボンをゆっくりとあげる、
布がこすれる音がし終わる頃にカーテン越しに声をかけ、
彼が再びベッドに横たわる手助けをする。
体を横にして大きく息を吐く彼の下半身の
最後まで上がりきっていないズボンと紙おむつが
ボクを悲しくさせるけれど、ボクがあげようとすると、
きっと彼は厭がるに違いないので、それは後からでも
看護師さんにやってもらう事にして、わざと見ないフリをしながら、
横たわった彼の体にそっと布団をかける。
尿瓶の中身をトイレに捨てた後、彼が床の所々にこぼした
小便を拭くボクの頭の上で、彼の弱々しい呻き声は
やがて寝息に変わる。
ボクはボクで用事を済ませ、再び椅子に腰掛け、
日毎土色に近づいてゆく痩せ痩けた彼の寝顔や、
時折ピクンと動くシワシワになってしまった彼の指先や、
その腕から伸びる2本の点滴のチューブ、
1本は、食事が摂れなくなった彼の為の栄養剤と、
もう1本は痛みを和らげる為のモルヒネが吊されたスタンドを、
彼が再び眼を覚ますまでただただ眺めている夕暮れ時____。

最期の時

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2011年12月15日。
たぶん今日が、ボクと彼とが過ごす最期の時。

「とりあえず、これが第一目標。
 当たったら1割ちょーだいね。」と、
ボクが枕元に置いた『年末ジャンボたからくじ』に、
「当たって・・・他人に言う馬鹿・・・居ないわよ・・・。」と、
息も絶え絶えながら、静かに笑う彼。

日毎にその量を増すモルヒネで混濁している意識の中、
「向こうで・・・ケンカ・・・しちゃダメよ・・・。」と、
明日から旅に出るボクを最期まで気にかけながら、
再び眠ってしまった彼に小さく手を振る。

じゃあね、またゆっくりと。カウンターのこっちとそっちで___。

寝違えた首のまま

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何が正しいとかこの際なんの意味も持たない。
ボクの心は満たされている。
またその一方でこの上なく飢えている。
誰の為?何の為?そんな答えを探す必要もない。
ただ風を、匂いを、この肌で感じるだけである。


こんなボクの背中を押し続けてくれるアナタに、
心の底から感謝しながらも、その顔にはいつも通りの
"涼しい笑み"を浮かべて____行ってきます。

カオスの街で

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夜半、クアラルンプールに到着。
27度の熱帯夜にまだ慣れない体で、
以前、強盗団に襲われた通りを
重いリュック背負って速足でホテルまで。

ホテルに荷物をおろした後、
賑わいをみせるチャイナタウン横の屋台街で
一人遅い夕食(ナシゴレンアヤムとアイスコーヒー)を
腹に入れ、気紛れなスコールを避けながら
ホテルにもどる。

しばらくして、クアラルンプール在住の友達が
ホテルまで迎えに来てくれたその足で、
ドライブと夜食を楽しんだ後、再びホテルまで
戻ってきた。

さっきから隣の部屋から聞こえてくる
男女が罵り合う声にボクの睡眠が妨げられなければ、
明日は予定通りパンコール島に移動するつもりなのだよ。

2011.12.16.jpg


里帰りと云われても

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護岸工事を終えたニパーベイは、
砂浜こそ少なくなってしまったけれど、
人々の心は工事前となんら変わることなく、
知り合いに出会う度に、
「元気ー!?いつ来たの!?」と、
誰もが笑顔をボクにくれる。

クアラルンプールに比べ、
吹く風もずっと気持ち良い。
やっぱり此処が落ち着くよ。

2012.12.17_01.jpg

この歳でか!?

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そりゃ繁盛期の週末に島にやって来たオイラが悪いんだけどね、
それでも今回は珍しくちゃんと日本から予約の電話も入れた
じゃんか日本を出発する5日前だけど。
だからさ、百歩譲って、部屋が満室なのは仕方ないよ。
ましてオイラは友達価格にしてもらっているし、文句を言える立
場じゃない事も重々承知してるさ。承知しているけれども___。

考えてみておくれ。
オイラが初めてこの島に来た時から12年も経つのだよ12年も。
12年つったら、オギャーと生まれた赤ん坊の可愛いオチンチンが
チンコに変わるのに十分な年月さ。ユーノゥ?
オイラだって歳をとるってもんでしょーよ。水シャワーが平気だっ
た肌も今では、手の先からソロリと浴びても心臓とチンコがキュッと
なるし、夜は涼しいとはいえ、ファンだけが回る部屋のベッドシーツ
のウェット感に耐えてみせるワイルドさより、虫刺されによる過剰な
アレルギー反応が出るようになってからは、金で解決出来る事なら
なるべくそうした方が結果安く済む事を、旅の途中での度重なる
病院通いで痛いほど学んだし、夜は夜中にトイレに起きる事だって
あるさ。
ほらね。12年という歳月は老いるのに十分過ぎる時間なのだよ。
だから空室が出次第、部屋を替えてくれプリーズプリーズ。


という事で、部屋を見た現地の友人が「エマージェンシールーム」と
からかう、水シャワー・トイレ共同、壁に備え付けの扇風機の威力を
最大にしても、ウェット感漂う四畳半ほどの監獄のような部屋で、
時折背中や首筋に感じる痒みに、虫刺されじゃないだろうかと怯える、
こんなはずじゃなかったパンコール島の夜___________。

2011.12.18.jpg

逝っちゃったか

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海が好きだったその人の分まで 海を眺めている。

今朝9時過ぎに眠るように息を ひきとった彼。
出発前に、病院の彼の枕元に置いた 宝くじの抽選は
まだだけれど、 肝細胞ガン発症から6年、
常に笑いながら、また周囲を笑わせながら、
影では痛みを伴う手術や治療に 頑張って耐えていた
彼をお見送りする為に、 とりあえず明日の便で日本に
帰国するよ_________________。

2011.12.20.jpg

一時帰国

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昼過ぎにパンコール島をフェリーで出て港町ルムッへ。
友人でもあるニパーベイ・ビラのオーナーに、
シタワンまで車で送って貰う。ベンツかよ、金持ってるねパパ。
途中、スリ・マンジュンに住むパパの友人宅を訪問
したのだけれど、これが凄い豪邸で、無駄に広いリビングの
大理石の床と、あちこちにドデカイ民芸品が置かれて
いてもまだ無駄に広い。
パパ、ボクの東京の部屋は、パパが今座っているソファの
辺りしかないよ。

定刻2時30分のKILA国際空港直通のバスが
こちらに向かう途中で故障したらしく、到着が
ずいぶん遅れ、結局夕方4時にシタワンを出発。
スクールホリディにもかかわらず、渋滞らしい渋滞にも
巻き込まれず、4時間でKILA国際空港に到着。

飛行機の出発時間まではまだ2時間以上もあるけれど、
チェックインと出国審査ゲートを大急ぎで済ませたのは、
早く喫煙所に行きたかっただけの話なわけで、
ゲート内に入ったら入ったで、飲み物も食べ物も全ての
値段が高く、おまけにタバコを切らせてしまい、
終いには免税店で買ったタバコの封を切る始末。
昼過ぎにシタワンで食べたっきりの腹をグーグー鳴らしながら、
日本人建築家・黒川紀章氏設計の空港内の喫煙所で
時間を持て余す夜_________________。

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凍えるツバメ

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朝の新宿。マレーシアとの気温差約25度。
急ぎ足で通勤先に向かう人混みを背に、
Tシャツの上にペラッペラのシャツだけの姿で
肩をすぼめながらTAXIが来るのを待つ。
こんな時に限って来ないんだ空車が。
凍え死ぬぞこりゃ。

本日朝、一時帰国完了________。

雑踏の隙間で

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日本に一時帰国早々、
一昨日亡くなったKさんの通夜と葬儀の準備に参加。
まずは通夜と葬儀のBGM作りから始める。
Kさんが店や旅行先などで必ず聴いていたお気に入りの曲を
一曲一曲パソコンの中で順番に並べてゆく作業。

「これはちょっと五月蠅いんじゃない?」
そんなボクの問いかけに、
「いいのよ。静かなのばかりじゃ、来てくれた人が飽きちゃうでしょ。
 とりあえず入れといてちょーだい。」
と、Kさんが言う。
「あーはいはい。オレ、責任持たんからね。」
「アラ、アンタ責任なんて持てるの? 店の氷も持てないくせに(笑)。」
そんな彼のいつもの嫌味を耳元で聞きながら、
やっぱり五月蠅すぎる曲を勝手に外すボクと、
入れといてよ入れといてよと文句を言う彼。
この期に及んで死んだヤツが文句を言うんじゃない。
優しく見守れっつーの。

Kさんの奥方から遺影にする写真がなかなか決まらず困って
いるとの連絡を受け、BGM作業を一端中止し、外付けハード
ディスクの中から遺影に出来そうなKさんの画像を選ぶ。
「大丈夫? 一番いい男に写ってるの選らんでちょーだいよ。
 あーん、それダメ!! 床屋に行く前の日でしょそれ、ダメよ。」
「黙っててってば!! Kさんの画像なら山ほどあるんだから。」
彼の言葉を右から左へ受け流し、
たぶんボク自身の画像よりも多い彼の画像ファイルの中から、
ボクが良いと思った数枚をCDに焼いた後、
葬儀屋さんとの打ち合わせの時刻が迫っていた事もあり、
大急ぎでKさんの自宅に向かう。
___________結果、遺影の写真は、
彼が30年もの間、毎年行っていた沖縄・伊平屋島の定宿の
テラスで、ボクのミニ・ライブを聴いてくれている時の姿に、
背景をこれまた彼が毎年通い詰めていたバリ島での画像を
合成する事に決まり、そして、弔問客の為のお清め所には、
ボクが今年の5月に撮った、彼が自分の店で働いている、
客の誰もが知る普段の彼の姿を飾る事となったのだよ。

葬儀屋さんとの打ち合わせと、まだ連絡の取れていない関係者
への電話連絡を一通り済ませた後、奥方、それと同じマンションに
住む常連客Sさんと一緒に、近所の葬祭場に保管されいてるKさん
の亡骸に会いに行く。途中から、ボクの仲間で、Kさん家の近所に
住むHくんとFちゃんも来てくれた中、
「此処、黒く染めてあげないとね。いつも髪だけはちゃんと
 2週間に一度、床屋できっちりしてた人が最期に白髪じゃね。」
顔を少しだけ右に向けて眠る彼の冷たくなった額に手をかけ、
その白くなった前髪を撫でる。

病室で、「いいから、それ早く引っこ抜いてっ!!」と、
Kさんが大声で怒鳴った時は、正直、
「アンタ、本当は弱ってるフリしてるんじゃないの?」と、
こちらが思ったほどだけど、やっぱり死んじゃったんだね。
でもね、悲しくはないよ。だってホラ、最期の最期まで笑い合ったし、
あの日ちゃんと約束もしたもの。ね、Kさん。
だから、他のみんなには薄情者と思われるかもしれないけれど、
ホント、悲しくはないのだよ。

ただ、ふとした時に。
例えば、亡骸と面会した後、クリスマスを前に賑わう夜の新宿を
こうして一人で歩いている時。
誰かに電話をかけようと、携帯電話の電話帳をなぞる指が、
アナタの笑っている顔写真と名前が登録されたその場所で
一端止まりかける時。
このどうしようもない寂しさはいったいどうすればいいのか
わからないだけ___________________。

ケホケホな部屋にて

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途中、なんやかんやでパソコンの不具合などがあり、
朝飯も昼飯も喰わず、缶コーヒーの空き缶とタバコの
吸い殻だけが増え続ける中、途中遅い遅い晩飯を
弁当で済ませ、日付の変わる寸前にようやくK氏の
通夜と葬儀の為のBGM作り作業が終了。

こんな時、なんだね。
自分の曲が入れられないっつーのも
ミュージシャンとして寂しいもんだね________。


繕う(ツクロ・ウ)

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明日からの2日間は着るであろう礼服のズボンの
ほころびを「花街の母」を唄いながら繕う。
けして裁縫が好きでも得意でもないのだけれど、
昔から何故か、靴下や洋服の綻びをとりあえずは
繕ってみようとする癖が自分にはあるらしい。
かといって、人間関係の綻びは繕おうともしないの
だから、単に貧乏性なだけかもしれない。

それはそうと、今日はクリスマス・イブなのだね。
どおりで、普段はこの街に溶け込むはずの無精髭と
着古しのジャンパー姿の自分が、今日は返って浮い
てしまうほど、とびきりのお洒落をした多くのカップル
たちを街で目にしたわけだ。仲の良さそうなカップル。
明らかに片方が入れあげているだけに見えるカップル。
理由あり気なカップル。お互いが不機嫌そうなカップル。
ま、いろいろあるだろうけどさ、出来るだけ笑っていようよ。

すべての人にメリークリスマス__________。

いつもの笑みで

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アナタの顔に自分の顔を近づける、精進落としの意味も
解らぬ無学なボクの、前日食べた「ニンニク」の匂いで、
アナタの眉間に皺が寄るのを心の何処かで多少は期待して
いたのだけれど、石っころを幾ら投げても波立たぬ、
穏やかな日の凪の海のようなその表情に、改めて寂しさを
奥歯で噛みしめるボクと自分自身の亡骸を、
アナタは祭壇の少し斜め上から、いつもの笑みで眺めている。
店が暇な時にいつも読んでいた小説の文庫本を片手に。

2011.12.25.jpg

「とりあえずお通夜は無事終わりましたね。
 みんな上で飲んでますよ。Y子さんは相変わらず忙しそうですけど。」

「知ってるよ。それよりさぁ、○○さんに連絡してくれた?
 来てくれてないんだけど。」

「Y子さんと二人で、してはみたんだけど連絡がつかないんですよ。
 ま、そのうち誰かから伝わるんじゃないですか?」

「"そのうち"じゃあダメなのよ。Y子といいアンタといい、
 ホント大雑把なんだから。よくやってられるねぇ。」

「そんな事言うなら、自分で知らせに行けばいいじゃないですか。
 フットワーク軽くなったでしょ? 虫の知らせってヤツですよ。」

「アンタ、いくらフットワーク軽くなっても相手が気づかなきゃ
 意味ないでしょ。それにさ、こんなに寒いんじゃ虫一匹も出やしないよ?」

「一匹だけいますよ。寒い日にも丈夫なヤツが。ゴキブリ。」

「へぇ〜、アンタ、ボクをゴキブリにする気? それにゴキブリだったら、
 知らせる前に見つけられて殺されちゃうから意味無いでしょ。」

「あーはいはい。じゃあ蝶が飛ぶ季節まで待ちましょ。」

「春まで待てってか? ホント、悠長ねぇ。」

「どうせだったら鳴く虫にすりゃあ良いんじゃないですか?
 秋の虫の中に"カマカマカマカマ"って鳴く虫いなかったっけ?」

「アンタね、ホント化けて出るよ(笑)。」

「出られるもんならどーぞ。」

再び上の階のみんなの様子を見に行ったのか、そこからアナタの
気配が消え、アナタの亡骸に再びニンニク臭い息を
吹きかけてみるボクしか居なくなった斎場に流れる曲。
ちあきなおみで「冬隣」________________。

葬儀も終えて

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♪急な階段 のぼると其処に
 昔と変わらぬ アナタが笑う
 夕凪のような その笑みに
 ついつい今夜も最後まで♪

2011.12.26_02.jpg

そう。いつもこの場所に逃げ込み、
アナタの笑顔に背中を押され、
この場所から踏み出して行った。

2011.12.26_03.jpg

__________そして今夜も。
そのドアは二度と開くことはないけれど、
ボクらは今夜も踏み出してゆく。
アナタの笑顔をいつも心に_______。

2011.12.26_01.jpg

不出来な皿は皿なりに

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故人K氏を偲んで下さる方々の為に、臨時ではありますけれど、
今までのこの日記のようなモノの中から、彼に関する事を
カテゴリー「新宿2丁目・姫」として区分いたしました。
枠外右横の「カテゴリ」欄の「新宿2丁目・姫」を押して頂くと、
新しい記事から順に、例えば、今日現在はこの記事が最新ですので、
この記事から順に、下に向かうほど古い出来事になります。

もちろん、自分のような若輩者などその足下にも到底及ばないほど、
故人とのお付き合いも長く、また彼の事を誰よりも思って下さる方々
の中には、「何だ?この小僧は。途中からしゃしゃり出てきて。」と、
不快に思われる方が、この世にもあの世にも大勢いらっしゃる事で
しょうし、稚拙な文章力ゆえ、文章の中に出てくる彼と彼のご友人らの
言動や所作の"奥ゆかしさ"などに関しましても、皆様の誤解を招きかね
ない表現をしている箇所が多々あるとは思いますが、所詮は若輩者の
勝手な妄想と戯れ言でごさいますゆえ、何とぞご容赦下さいますよう
お願いいたします。



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↑題名『その老人たちの笑顔、少年に勝り』 2009年7月沖縄・伊平屋島にて




Y氏「ボクがそんな事いつ言ったっ!?」
K氏「アラ? アンタもう呆けちゃったの? 可哀相な子ねぇ。」
2011.12.27_03.jpg
↑2010年7月沖縄・伊平屋島にて


2011.12.27_01.jpg

自分は晩年の彼しか知らないけれど、彼が癌を患ってから
亡くなるまでの間、特に、店に彼と自分しか居ない時は、
彼の幼少期や少年期、初めてお酒を飲んだ時の事、
東宝歌舞伎の役者時代の事、新宿2丁目「姫」を始めた頃の事、
某有名人たちとの経緯、奥さんと結婚に至った経緯、歌舞伎や
日本舞踊、小唄、長唄、落語の演目についての説明、若い頃の
旅の思い出、昔の新宿2丁目の風景、失敗談、古くからの常連客
を含む一人一人との思い出話から、料理・洋服の片付け方まで、
いやいや、此処では書ききれない程の膨大な量の話を、聞いて
いる側の自分をも彼の物語の中に誘ってくれるかのように、
時にはカウンターの奥から取り出したメモに図を書いたりして、
それはそれは丁寧に聞かせてくれた。
また時には、自分が何かに悩むその度に、いつものあの笑顔と
穏やかな口調で、自身の経験をもとに、その解決の糸口を必ず
提示してくれた。時にそれは、カウンターのこちらで聞く自分に、
まるで自身の大切にしてきた何かを受け継いで欲しいようにも
映った晩年の彼の瞳。
こっちはこっちで彼に教えを請うておきながら、彼が今までして
きた他人への気遣いや心配りが、不出来な自分に真似出来る
はずもなく、いつも最後はこちらが苦笑いでその瞳から視線を
外しては、また彼に優しくたしなめられ。
その繰り返しであったように思える。

ごめんねKさん。今でもやっぱりボクは、アナタの半分すら真似出来
そうもないや。ただアナタは、自分が受け皿として選んだ器に大きな
穴があいているのも承知の上で、あれだけのたくさんの水を注いで
くれたようにも思えるので、穴から漏れるその水を下にこぼさぬよう、
両方の手のひらですくいながら、次の受け皿に注いでゆくよ。
アナタのように穏やか笑みで_______________。

凪のその先へ

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10日ほど前に、常夏の島でアレルギー反応が出か
かっていた右手親指の付け根の虫さされ跡も、この
日本の寒さですっかり痒みも治まり、瘡蓋に変わった。

さて、もう一度行くか。
どうしようもない寂しさややり切れないせつなさが、
時に顔を覗かせるけれど、それらと上手に付き合って
ゆく術は完璧ではないにしろ心得ている歳なのだし。

今夜の便で再びボクは旅に出る________。

笑い合って2011

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2011年。
ヘンシモは10周年を迎えたにもかかわらず、
あまりパッとしなかったのは、リーダーで
あるボクのせいだよ、ごめんねごめんね。

個人的には、まーいろいろあったよ本当に。
でも、なんだかんだ言って結局は笑い合った
一年だったよ。それもこれも、こうして今
これを読んでくれているアナタのおかげだったり、
そんなアナタとボクがよく知るあの人のおかげ
だったり。ありがとうね、ホントに。

本日昼間に着いたばかりの常夏の島で、
連日の移動疲れでふやけた我が脳ミソの
記憶力の許す限り、一人一人の顔を思い
出しながら食べる年越しソバ代わりの
ミースープ・シーフード______。

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プロフィール

冨岡ツカサ
職業:旅人
もといミュージシャン
マレー語,小型ボート操船

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