Vol.33-3 ジロ・ストーリーPart3<ジロ騒動記2>

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 ハスキーという犬種が本来そうなのか、ジロがよほどの鈍感犬なのか定かではないが、ジロはめっぽう痛みには強かった犬だった。

 飼い始めて間もない頃、まだヤツを片手で抱き上げられるほどの大きさだったことから、ある日散歩がてらに自転車のカゴに乗せてジロを連れ出したこ とがあった。たぶん、他の犬ならカゴに入れられた時点で、大人しくその場所に収まっているものなのだ(と思う)が、何せ落ち着きがない上に元気が有り余っ ているヤツであるから、カゴの中でもやたらと動き回るのである。
「ホラ、ジっとしてないと出かけられないだろうによ」と半分怒りモードの僕などスルーして暴れまくること数分... 案の定、カゴから転げ落ちてしまったの だ。大人用の普通の自転車である。子犬にしてみれば、相当な高さからの落下... しかも下はアスファルトの道路... 当然、ジロはそのアスファルトの上にド サッと落ちたのである。
「う"っ...」というヤツのうめきが僕にはハッキリ聞こえた。これは、飼って早々、骨折か、最悪の場合、半身不随?と僕は本気で思った。しかし、慌ててジロ を抱き上げると... ごくフツーな顔をして、シッポを振っているではないか。「ちょっとビビったけどね」的な顔をしていたような気もしたが、とにかく何事も なかったように「早く散歩行こうぜ」と催促する始末。痛みに強いんじゃなくて、単なる鈍感な犬か?と初めて思った瞬間だった。
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 ある日の夜、妻と買い物に出る際に「ジロも連れて行こう」ということになり、車に乗せて近くのドンキホーテに行った時のこと。買い物が終わるまでジルを 車の中で待たせていたのだが、買い物が終わって車に戻った時に「用足し、させておくか」ということになったので、車からジロを降ろした。「ほいきた!」と ばかりに車から降りて用足しをするジロ... と、その時、ヤツの視線が物陰に隠れている野良猫を捉えたのだ。
 猫は本来、犬が大嫌い。そしてマズいことに、なぜかジロは猫が(犬よりも)大好き、なのだ。用足しもそこそこに、その猫に1歩でも近づこうと、リードを 猛烈な力で引っ張り始めた。当然、猫は「フ〜〜〜!!」と完全な戦闘態勢。しかし、ジロにはそんな猫の仕草ですら「わっ♪ 一緒に遊んでくれるの?」とし か思えていないのだ。僕の抑える力を上回り、1歩1歩猫に近づいていく... そして、ついに猫の顔とジロの鼻がほんの数センチという距離になった瞬間... 猫 がツメをたててジロの顔を引っ掻いたのだ! もちろん、猫にしてみれば「なんや、オマエ? 殺るんか、コラァ!」であるから、必死の攻撃である。一瞬の出 来事にジロが驚いている隙に猫は逃走。
「あれ? 猫クンは?」とキョロキョロするジロ... と、妻がジロの顔を見て...「ジロ、鼻から血が出てるじゃない!」
そう、猫によって鼻ッツラを思い切り引っ掻かれたのだ。鼻の横からツツーのひと筋の血が垂れていた。しかし、当の本人は「ねえ、猫は? 猫は?」だけ。「オマエ、痛くないの? 犬にとって鼻って大事なとこなんでしょ?」と呆れる妻。
 ジロとの生活の中では、こんなことは本当に日常茶飯事だったのである。
散歩中.JPG


 そんな痛みに強い、もしくは鈍感な犬だった若かりし頃のジロが、1度だけ「痛〜い!」と悲鳴を上げたことがあった。
 それは、僕ら夫婦が最初の一戸建て(東京都国立市)からテラスハウス(川崎市麻生区)に引っ越して、しばらくしてからのことだった。引っ越したワケは... とにもかくにも、僕自身の不徳の致すところなのであるが... まあ、それはそれとして、また別の機会にでも...(汗)
 とにかく、そのテラスハウスがある周辺は、平地の多かった国立市の時とは異なって丘陵地だった。したがってジロの散歩コースも、自ずと軽い丘のアップダ ウンの連続となり、なおかつその丘陵地帯の中にある田畑もジロの格好の遊び場となったのである。そんな場所でなくとも、散歩となるとテンションが一気に跳 ね上がり、ただでさえ落ち着きのないジロは、毎回5割増しの落ち着きのなさ... そんなある日の散歩中、畑を仕切る塀に飛び乗って畑の土をさんざんいじって 楽しんだ後、やおら身を翻して塀から飛び降りたことがあった。あまりの突発的なヤツの行動に、リードを持った僕があっけにとられていると、リードがヤツの 尻尾に絡んでしまった。しかしヤツは、そんなこともおかまいなしに、ものすごい勢いで塀から飛び降りたのだ。しかし、次の瞬間... 「キャン!!」という悲 鳴がジロから発せられた。そして、しきりに自分の尻尾を気にしているではないか... 普段、痛みなどには鈍感で無頓着な彼にしては珍しいことだし、いつもは クルリと巻き上がっている尻尾がダラリと垂れ下がっている... さすがにこれはちょっと心配だということで、すぐに近所の動物病院へ連れて行くとレントゲン を撮っての診察となった。
「ジロくん、ですね... え〜っと、尻尾を軽く脱臼してますね。もしかすると、このまま尻尾は垂れ下がったまま、かもしれません」
脱臼〜? 犬が尻尾を脱臼〜? しかも垂れ下がったままになるって... 思わずジロの顔を見たのだが、当の本人は「ねえねえ、この病院も犬とか猫、たくさん居るね♪」という表情。尻尾は垂れ下がったままなのに、平気な顔をしているではないか。
「オマエな、犬が尻尾を脱臼なんて聞いたことないぞ。なんで、そう落ち着きがないんだ」と僕と妻のいつもの小言など、どこ吹く風である。とにかくその日 は、とりあえず痛み止めの薬をもらって帰宅した。「もしかして、このまま尻尾が垂れ下がったままになったら、ちょっと可哀想だな」と心配しつつ...
 そして、その2日後、何事もなかったようにヤツの尻尾は、クルリと上に巻き上がっていたのである...
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About

つのだ☆ひろ氏を師と仰ぐDr.光太郎の連載コラム。
henssimoのドラムである彼が、日々の暮らしの中でふと思った事柄や現代の世相を通して、音楽に生きる人達に送るメッセージ。
・・・って説明すると、Dr.光太郎がたいそう偉い人に思えるのだが、実際読むと「そんなに偉くない」ので安心。

プロフィール

武田 光太郎
職業:阪神タイガース
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